唾液腺ボトックスってどうですか?

小顔目的などで人気がある「唾液腺ボトックス注射」ですが、矯正治療中の方、また将来の健康を見据えた場合には注意が必要な処置です。
■ 唾液腺ボトックスとは?
- 唾液腺にボトックスを注射し、唾液の分泌を一時的に抑える処置
- 主に美容目的(フェイスラインの引き締め)や、よだれ症状の抑制に用いられます
- 効果は約3~4ヶ月で、定期的に繰り返す必要があります
■ 唾液が減るとどうなる?
- 虫歯・歯周病のリスク増加(唾液の自浄作用が失われる)
- 口腔乾燥(ドライマウス)による不快感・舌のひりつき・口臭
- 食べづらさ・飲み込みにくさ・話しづらさなどの機能障害
- 装置まわりの清掃性悪化 → 虫歯や口臭の原因に
■ 矯正中の併用は危険
- 矯正装置で口腔内はただでさえ汚れやすく、乾燥によって虫歯リスクがさらに上昇
- マウスピース矯正では、唾液がクッションになるため減少は痛みや不快感の原因に
- 唾液が減ることで、矯正中の口内炎や違和感が悪化しやすくなります
■ 将来的なデメリットも…
- 繰り返すことで唾液腺の萎縮や機能低下が起こるリスク
- 唾液分泌が戻らず、慢性的なドライマウス状態になる可能性も
- 長期的には虫歯・歯周病のリスクが高止まりし、将来の歯の健康に悪影響
ドライマウスは皆さんが考えるよりもかなり深刻な問題です。口腔外科時代に多くのドライマウスの患者さんの治療を行いましたが、治療法としては、唾液分泌促進剤の内服や唾液腺マッサージや人口唾液の使用等が主体で、根本的な治療は困難です。その一方で、唾液減少により、ベロがただれて痛い、食事もおしゃべりも楽しめないというQOLの低下に直結する問題です。人生100年時代、食事やおしゃべりを楽しむためには、唾液腺ボトックスなんてもっての外、むしろ今から唾液腺マッサージをすべきであると思います。